法務の初心者

法務の初心者が考えたことを綴っています。少しの価値の提供になれば。

返戻金の闇

新しい会社に来て、契約書レビューで見ることが多くなったのが、人材紹介基本契約書。

今までの会社では人事系の契約書は人事管轄で交渉して見ていたみたいだから、ノータッチで、経験していないこともたくさん。

 

分野の特徴で分からなくもないが、基本的に採用が決まってから初めて基本契約書が送られてくる。採用も固まった後だから、人事からは「なるはや、ASAP」で、なんて日常茶飯事。

 

ただ、この契約書でよく見かけるのが「返戻金」制度。よく揉めています。

そもそも、人材紹介の手数料は、成功報酬がスタンダード。たまーに、定額制の人材紹介も見るけど、基本はこれ。そして成功報酬の額も年収の何割、なんてもってっちゃうから1回の採用に7080万かかるなんてザラ。

 

昨今の売り手市場でも新卒市場で特徴的だけど(新卒採用の場合の手数料っていくらなんだろう)、入社してすぐに辞めちゃった、なんて、転職した後でもよくある話。

(私も辞めたいだなんていえない・・・。)

 

入社してすぐに辞めちゃった。でも人材紹介は一応成功しているから、人材紹介手数料支払ってくださいね~って。

だからといって、採用する側からすれば、すぐに辞めちゃう人を紹介して人材紹介手数料だけふんだくるってどういうこと?って憤りしか感じない。

だからこそ、そんなときには、採用側からすれば、人材紹介手数料を返還してよ~、っていいたくなる。一方で、人材紹介会社からすれば、一度紹介した人が辞めたかどうかなんて、その人次第の部分が大きいから、人材紹介手数料の返還すなわち自分の会社の利益の放出なんて認められない。

このよく揉める「返戻金」。

とはいえ、採用も決まっている以上、法務がNOだしても人事側でOKなのでそれで進めました。なんてことが常で、議論のお預けを食らっているような状況。

 

私個人として、人材紹介を業務としてお願いして対価を支払う以上は、中途半端な人ではなく、こちらの要望にあう精度の高い紹介をしてほしいし、その義務があるのではないかと考えている。

そのためにも、人材紹介手数料として高めの金額を支払っているのだから。

そして、厚生労働省も、人材紹介手数料の返戻金について定めるよう推奨をしている。

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一方で、相手方の考えとしては、先に述べたとおり、人材が辞めるなんて人材紹介会社にとっても責任はない、ということでしょう。ほかにも、採用するか否かは自己責任であってその点も含めて確認するかは採用者側の都合でしょ。と。

 

結局、落としどころはどこなのか。定めたとして逓減率はどうするのか、という問題もまだまだ残っている。

 

契約書一つの条項にここまで考えさせられる要素があるから、契約書は難しい・・・。